しばらくすると霊鷲山の地は震え、天からは華々が舞い降りてきました。 そんな中 東方の国より普賢菩薩は来られたのです。 普賢菩薩は霊鷲山に至ると釈尊を礼拝し、このように言いました。 「世尊、私は寶威徳上王如来の国に於いて、 無量無辺百千万億の菩薩と共にこの法華経の教えを聴聞しておりました。 そこでひとつお聞きしたいことがございます。 釈尊滅後、善き者たちは、どのようにしてこの法華経を学ぶべきなのでありましょう。」 釈尊は 「善き者たちが次の四法を修めるならば、當に法華経を得るでしょう。 一には、諸佛に護られることを得ること。 二には、諸々の徳を得ること。 < br> 三には、※1正定衆に入ること。 四には、一切の衆生を救う心を起こすこと。 これらを身に具えるならば必ずこの経を得るのです。」 これを聞いた普賢菩薩は 「世尊、後の濁悪世の中に於いてこの経典を受持する者を私は護るでありましょう。 そこでは悪しき者がこの経典を説く者の落ち度を探すこともありましょう。 そんな時、私は六牙の白像王に乗ってその所へ至り、 その身を護り、心を安穏ならしめることでしょう。 またこの経典を説く者が、その一偈一句を忘れた時は、 私はそれを教え、共に読誦することでしょう。 またこの経を持つ者に私は陀羅尼呪を与えます。 阿檀地 檀陀婆地 檀陀婆帝 檀 陀鳩?隷 檀陀修陀隷 修陀隷 修陀羅婆底 仏駄波羶禰 薩婆陀羅尼 阿婆多尼 薩婆婆沙 阿婆多尼 修阿婆多尼 僧伽婆履叉尼 僧伽涅 伽陀尼 阿僧祇 僧伽波伽地 帝隷阿惰 僧伽兜略 阿羅帝 波羅帝 薩婆僧伽 三摩地 伽 蘭地 薩婆達磨 修波利刹帝 薩婆薩捶 楼駄?舎略 アトギャダイ 辛阿毘吉利地帝 この者は女人に惑わされることなく私が常にその身を護るでありましょう。 この閻浮提に於いて法華経の行を修める者は私の行いを顕わす者です。 多くの諸佛にその頭を摩でられることでしょう。 また書写するならば、命終えた後 天女と共に刀利天へと生まれるのです。 この経を受持する者には無尽の功徳があるのです。 それ故に私はこの経を守護し広く流布致します。」 すると釈尊は 「善き哉、善き哉。 普賢よ汝はよくこの経を護り、人々を安穏ならしめんと誓ってくれた。 あなたはすでに上可思議の功徳と慈悲を具えているのです。 普賢よ。 この経を受持する者は則ち釈迦牟尼佛を見、 その教えを聞き 諸佛がその頭を摩でるのです。 その者は浮世の快楽に惑わされず善き福を得ることでしょう。 この経典を心に持つ者を見てその悪口を述べ笑う者は その顔や身に悪しき病が生じることもあるのです。 それ故にこの経典を受持する者を深く敬いなさい。 この普賢菩薩勧発品が説かれた時、恒河沙の菩薩は 百千万億旋陀羅尼を得て、あらゆる世界の菩薩は普賢の道を修めたのでした。 そうしてこの世の一切の諸天、諸菩薩、あらゆる者は皆 大いに歓喜して この釈尊の御言葉を胸に抱き 礼拝して 霊鷲山より立ち去ったのです。 妙法蓮華経巻第八 法華経 通解(了) |