その時に、薬王菩薩と大楽説菩薩は、二万の菩薩たちと共に 釈尊の御前に於いて、誓言を述べました。 世尊。私どもは、佛滅度の後に當に此の経典を持ち、読誦し説きたいと願います。 後の悪世の衆生は、善根少なく増上慢の者多く、解脱から遠く離れておりましょう。 教化することは、甚だ難事ではありましょうが、我等は大忍力を起こして 此の経を読誦・書写し、種々に供養して、身命を惜まず導くでありましょう。 次に、座の阿羅漢たちは釈尊に言いました。 私どもは、他の国土に於いて、広く此の経を説きたいと思います。 なぜならば、この娑婆世界の人々は、徳薄く、不実にして増上慢を抱いているからです。 その時に、座の摩訶波闍波提比丘尼は、 六千人の比丘尼と共に立ち上がり、合掌して尊顔を拝しました。 それを御覧になった釈尊は、優しく語りかけられたのです。 「何故、そのような憂いを表すのですか。 私が、あなたに記を授けていないからですか。 摩訶波闍波提比丘尼よ、汝は未来世に於いて、大法師となるのです。 比丘尼たちも共に法師となります。 あなたは、次第に菩薩の道を行じて、一切衆生喜見如来となるでしょう。」 すると、耶輸陀羅比丘尼も、このように思いました。 「世尊は私の名を挙げられない・・・」 釈尊は、耶輸陀羅比丘尼に告げられました。 「あなたも、来世は大法師となるのです。 名を具足千万光相如来といい、その寿命は無量劫となるでしょう。」 これを聞いた摩訶波闍波提比丘尼・耶輸陀羅比丘尼・比丘尼たちは、 大いに喜び、他の国土での布教を誓ったのです。 時に、世尊は座の八十万億那由佗の菩薩たちを見渡されました。 すると、彼らは、佛前にて一心に合掌し、※１師子吼を以って、誓言したのです。 我等は、佛滅度の恐怖悪世に於いて、広く此の経を説くでしょう。 悪世の人々は、邪な者多く、得ていないものを得ていると思い、 我等を蔑み、刀杖を加えることでしょう。 また、人里離れて自らを聖者と標榜しながら、心は常に世俗の事に捕われて 我等の過を責める者もおりましょう。 また、国王・大臣に向かって、自らの悪法を説き、我等を誹謗して、 「あの者たちは人心を惑わす者です。 名声を求めて、あのような法を説いているのです。」 などと述べる者もおりましょう。 しかし、我等は佛を敬うが故に、悉くこの諸悪を忍びます。 悪世の人々は、悪鬼が、その身に入って、我等を罵り、嘲ることでしょう。 世尊。我等、是の経を説かんが為の故に、此の諸の難事を忍ばん。 我れ身命を愛せず。但無上道を惜む 願わくは佛、安穏に住したまえ 我れ世尊の前、諸の来りたまえる十方の佛に於て、是の如き誓言を發す。 佛。自ら我が心を知しめせ （妙法蓮華経安楽行品第十四へ続く） |