その時に釈尊は法座より起たれて、右手を以って数多くの菩薩の頭を摩でられました。 そしてこのように言われたのです。 「私は遥かな昔 この阿耨多羅三藐三菩提の法を究めることができました。 そして今、あなた方にこの法を授けます。皆 一心に流布し 世に広めなさい。」 そうして三度 頭を撫で、同じ嘱累の言葉をかけられました。 「如来は心に畏れる所無く、よく人々に佛の智慧を与えるのです。 つまりは一切衆生の大施主と言えるでしょう。 未来世に於いて佛の智慧を信ずる者には此の法華経を説き、そして法を広めなさい。 そのように行う者こそ諸佛の恩に報いる者なのです。」 すると周囲の菩薩達は皆 歓喜し合掌して、佛に向かって三度このように同唱 したのです。 世尊の勅の如く 當に具さに奉行すべし 唯然 世尊 願わくは慮有さざれ すると釈尊は、十方の諸佛に各々の本土に帰って頂くため、 「皆様は各々の本分に随って頂きますよう。 また多寶塔も元の如くにして下さいませ。」 と言われました。 そうして十方の諸佛や多寶如来・上行等の菩薩を始めとした法を聴聞するもの全ては 釈尊を賛嘆されたのです。 (妙法蓮華経薬王菩薩本事品第二十三へ続く) |